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買取実績

涼炉

2025.08.25

涼炉(りょうろ)は、煎茶道において湯を沸かすために使用される重要な道具で、煎茶道具の中でも最も個性的で特徴的な形態を持つ道具の一つです。別名「冷炉(れいろ)」「茶炉」「風炉」「焜炉(こんろ)」とも呼ばれ、煎茶道においてはボーフラと涼炉台とセットで使用される不可欠な道具として位置づけられています。

涼炉は元々中国で茶の野点用に野外で火を起こすために考えられた携帯湯沸かし器として誕生しました。その素朴で実用的な美しさが、江戸時代に煎茶法と共に日本に伝来した際、舶来物であることと素焼きという素朴さが文人達の心を捉え、重宝されるようになりました。現在では煎茶道の精神性と美学を体現する芸術的な道具として、高い評価を受けています。

涼炉の基本的な構造は、円筒形の胴体に前面に風門(ふうもん)と呼ばれる風抜き用の穴が開けられ、上部には三つの爪が付いており、この爪の上にボーフラ(茶釜)を置いて使用します。爪の形状により、爪と爪の間が低くなっているものを「三峰炉(さんぽうろ)」、爪がなく平らになっているものを「炉」と一文字で呼び分けられています。

標準的な寸法は高さ24センチ前後、胴の太さは12センチ程度とされていますが、持ち運びやすい背の低いものや、茶席の格式に応じた特別な寸法のものも存在します。材質は主に白泥、朱泥などの陶土で成形した素焼きが基本ですが、作家物では表面に釉薬をコーティングしたり、絵付けを施したりした芸術性の高いものも制作されています。

現代においても涼炉は煎茶道愛好家に愛用され続けており、骨董品市場では特に古い時代の中国製や著名な作家による作品が高い評価を受けています。特に隠元禅師が持参した煎茶道具の中にあった涼炉の形が現在の涼炉の原型とされており、その歴史的価値と芸術性から、茶道具コレクターの間で高い人気を誇っています。

ボーフラ/ボウフラ

2025.08.23

ボーフラ(保富良・保宇夫良・湯瓶・湯罐・湯沸・湯銚・鳴泉)は、煎茶道における最も重要な道具の一つで、美しい煎茶の味を引き出すためのお湯を沸かす専用の器具です。その独特の丸みを帯びた形状は、まるでかぼちゃのような愛らしさを持ちながら、機能美を追求した究極の湯沸かし道具として、数百年にわたって茶人たちに愛され続けています。

ボーフラの特徴的な名称は、ポルトガル語で「かぼちゃ」を意味する「Cambodia abóbora(カンボジヤ アボーボラ)」が語源とされており、その丸い胴部の形状がかぼちゃに似ていることからこの名前が付けられました。江戸時代初期に日本に輸入された際、後半部分の「アボーボラ」が訛って「ボーフラ」となったという説が有力です。流派によって「保夫良」「保宇夫良」「湯缶」「湯瓶」「湯沸」「湯銚」「鳴泉」など様々な当て字や呼び方が存在します。

煎茶道におけるボーフラの最大の特徴は、急須との明確な機能的区別にあります。急須には茶葉を漉すための網や穴が複数ありますが、ボーフラは注ぎ口の穴が一つだけで、内側に漉し穴がありません。これは茶葉を直接入れることなく、純粋にお湯を沸かすことに特化した設計であり、茶道の釜とは異なる独自の発展を遂げた煎茶道ならではの道具です。素焼きの白泥(はくでい)で作られることが多く、金気を嫌う煎茶道の思想に基づき、お湯の味をまろやかに仕上げる重要な役割を担っています。

水注

2025.08.23

水注(すいちゅう)は、煎茶道において水を注ぐための器・水差しであり、煎茶を淹れるために必要な水を入れておく重要な道具です。流派によって「水瓶(すいへい)」「水罐(すいかん)」「水指」「水次」「水滴」「注子(さし)」とも呼ばれ、中国では「執壺(しっこ)」と称されます。書道においては硯に水を足すための道具として使われますが、煎茶道ではボーフラや急須に水を足したり、お道具を清める際に用いられる多機能な器です。
水注の役割は、単なる実用性を超えて煎茶道における「水」の美学を表現する重要な存在です。良質な水は美味しい煎茶を淹れるための根幹であり、水注はその大切な水を美しく保管し、優雅に注ぐための道具として発展してきました。茶席では、水注から注がれる清らかな水の流れそのものが、一つの美的表現として鑑賞される対象となります。

水注の特徴的な形状は、機能性と美観を見事に調和させています。注ぎ口は水の流れを美しく制御できるよう精密に作られ、持ち手は使いやすさと優雅さを兼ね備えた設計となっています。胴部は適度な容量を確保しながらも品格のある佇まいを保ち、全体として調和の取れた美しいプロポーションを実現しています。

素材は陶磁器製が主流ですが、錫や銅などの金属製のものも存在し、それぞれに異なる美しさと機能性を持っています。陶磁器製の水注は、青磁、白磁、染付、色絵など様々な技法で装飾され、金属製のものは素材本来の美しさと実用性を活かした造形となっています。水注は、煎茶道具の中でも特に実用性と芸術性が高いレベルで融合した道具として、茶人たちに愛され続けています。

洗瓶

2025.08.23

洗瓶(せんびん)は、煎茶道において茶椀を洗い清める際に使用する水を溜めておく専用の器であり、煎茶道の精神的な側面を体現する重要な道具の一つです。飲用ではない清浄な水を蓄え、茶席における清めの所作を支える実用的でありながら精神性の高い道具として、数百年にわたって茶人たちに愛用されてきました。

洗瓶の役割は単なる実用性を超えて、煎茶道における「清浄」という理念を具現化したものです。茶席では、客人に美味しい茶を提供する前に茶椀を清め、また茶席の終わりにも道具を清浄に保つという一連の所作が重要視されます。洗瓶は、建水(けんすい)と組み合わせて使用され、茶椀に清水を注いで洗い、その水を建水に流すという清めの儀式を支える不可欠な存在です。

煎茶道具の中でも洗瓶は、水注(すいちゅう)と混同されることがありますが、明確に役割が異なります。水注は煎茶を淹れるための水やボーフラに水を足すために使用される器であるのに対し、洗瓶は専ら茶椀や道具を洗い清めるためだけに用いられます。この用途の違いは、煎茶道における「清浄」への配慮を示すものであり、飲用の水と清めの水を厳密に分けるという思想的背景があります。

形状的には小振りで扱いやすく、注ぎ口が細く精密に作られているものが多く、茶椀の内側を丁寧に洗うことができるよう配慮されています。素材は陶磁器製が主流ですが、時には金属製のものも見られ、茶席の格調や季節感に応じて選ばれます。洗瓶の存在は、煎茶道が単なる喫茶の文化ではなく、精神性と実用性を調和させた総合的な文化体系であることを物語っています。

急須/宝瓶

2025.08.19

急須(きゅうす)と宝瓶(ほうひん)は、日本茶文化における最も重要な茶道具の一つです。日本茶を美味しく淹れるために特別に設計されたこれらの茶器は、単なる実用品を超えて、日本の美意識と工芸技術の粋を結集した芸術品として高く評価されています。

急須は、注ぎ口に対して横に持ち手が付いた日本独特の形状を持つ茶器で、主に煎茶や玉露を淹れる際に使用されます。一方、宝瓶は持ち手のない急須のような形状で、特に高級茶である玉露の抽出に適した茶器として重宝されています。これらの茶器は、茶葉の旨味を最大限に引き出すよう細部まで計算された構造を持ち、日本の茶文化において欠かせない存在となっています。

骨董品としての急須・宝瓶は、その歴史的価値、芸術的美しさ、希少性により多くのコレクターから愛され続けています。茶道具としての実用性と美術工芸品としての芸術性を兼ね備えた急須・宝瓶は、日本文化の象徴的な存在として国内外で高い評価を受けているのです。

現代においても、急須・宝瓶は日本茶愛好家にとって必要不可欠な道具であり、同時に茶道や煎茶道における重要な稽古道具でもあります。手作りによる温かみのある質感、使い込むほどに増す味わい、そして何より美味しいお茶を淹れるための機能美が、多くの人々を魅了し続けています。

湯冷まし

2025.08.19

湯冷まし(ゆざまし)は、煎茶道における重要な茶道具の一つで、茶を入れるための湯を適温まで冷ますために使用される専用の道具です。形状はピッチャーから取っ手を外したような形をしており、湯の温度を効率よく下げるため、底より口を大きく作ってあることが多い特徴的な構造を持っています。この独特な形状こそが、湯冷ましの機能性を最大限に引き出す設計となっています。
湯冷ましは、日本独特の茶である玉露抽出のために開発された道具です。玉露を美味しく抽出するには60度前後の湯が適温とされており、ボーフラややかんで沸かしたばかりの湯は熱すぎるため、一旦冷まして温度を下げる必要があります。この温度調整こそが、湯冷ましの最も重要な役割であり、美味しい茶を淹れるための欠かせない工程となっています。
紅茶や中国茶等の外国の茶道具には、湯冷ましに類似した道具は存在しません。ただし、中国茶には「茶海」という形状の類似した道具が存在しますが、これは湯温を下げる道具ではなく、複数の湯呑に注ぐ際に抽出した茶を急須から茶海に移すことで茶の濃度を均一にする道具であり、用途が全く異なります。このことからも、湯冷ましが日本の煎茶道において独自に発達した特別な道具であることがわかります。
お湯を湯冷ましに1回移し替えると、温度が約5~10℃下がるため、お湯の温度をコントロールするときに非常に便利です。煎茶なら70℃前後、玉露なら40℃前後などと、お茶を淹れるのに最適な温度があり、湯冷ましはそれらの温度を正確に調整するための必須アイテムとなっています。また、湯冷ましには注ぎ口が付いているため、湯呑から急須に湯を入れる際にこぼす心配がなく、実用的な面でも優れた設計となっています。
現代においても湯冷ましは、茶道愛好家にとって美味しい茶を淹れるために欠かせない道具として重宝されており、茶器セットと一緒に揃えると見た目が華やかになり、お茶を淹れる楽しみも増すという美的価値も持っています。

茶托

2025.08.19

茶托(ちゃたく)は、日本の茶の湯文化において重要な役割を果たす茶道具の一つです。煎茶や玉露などの茶碗を載せるための小さな台として使用され、茶席の美意識を高める装飾的な要素も兼ね備えています。
茶托の歴史は古く、中国から伝来した茶文化とともに日本に根付きました。当初は実用性を重視した簡素な作りでしたが、時代とともに芸術性の高い作品へと発展し、現在では茶道具コレクターや骨董愛好家にとって重要な収集対象となっています。

茶托の魅力は、その小さな空間に込められた職人の技術と美意識にあります。金工、漆工、陶磁器など様々な素材と技法で作られ、それぞれが独特の美しさを持っています。特に名工による作品は、茶道具市場において高い評価を受け、骨董品としての価値も年々上昇しています。

現代においても茶托は、日本の伝統文化を象徴する工芸品として愛され続けており、茶道を嗜む方々はもちろん、和の美意識を大切にする多くの人々に親しまれています。その繊細な美しさと実用性を兼ね備えた茶托は、日本文化の奥深さを物語る貴重な文化遺産といえるでしょう。

煎茶碗

2025.08.11

煎茶碗は、煎茶道において茶を飲むために用いられる小振りで繊細な茶碗です。
一般的に「汲み出し茶碗」とも呼ばれ、抹茶茶碗とは形状や用途が明確に異なる独特の魅力を持つ茶道具として親しまれています。
煎茶道で使用される茶碗は非常に小さく、特に玉露用のものは薄くおちょこくらいの小ぶりなサイズで、高さ4~5cm、直径5~6cm程度が一般的です。
煎茶碗の最大の特徴は、茶の色を美しく見せるために内側が白色や白に近い淡い色で作られていることです。この白い内面により、玉露や上級煎茶の繊細な色合いを堪能することができ、茶の品質を視覚的に確認しながら味わうことが可能になります。また、茶碗の背は低く、飲み口が軽く外側に反っているものが多く、この形状により香りが立ちやすくなっています。

煎茶碗は通常5客か6客でセットになっており、煎茶道の流派によって用いる茶碗の数に違いがあります。
茶碗の底には手に持ちやすいよう高台(糸底)がついており、口の部分が広い形状で湯呑茶碗とは大きく異なります。底は浅く面積があるため、お茶の色や器の内側を見て楽しむのに最適で、お客様をもてなしするのに向いているため、基本的に来客用に位置づけられています。
絵柄については、「染付」や「赤絵」が多く、豪華な「金襴手」の茶碗も存在します。中国では染付を青花や釉里青と呼び、日本の煎茶道においても中国茶文化の影響を色濃く受けた装飾が施されています。現代においても煎茶碗は、茶道愛好家や骨董品コレクターの間で高い人気を維持しており、特に有名作家による作品や歴史的価値のある古い煎茶碗は、骨董品市場において重要な取引対象となっています。

建水

2025.08.11

建水(けんすい)は、茶道と煎茶道において茶碗を清めたり温めたりした際に使用した湯や水を捨てるための重要な茶道具です。「こぼし」「水こぼし」「水覆(みずこぼし)」「水翻」「水下」「骨吐(ほねはき)」など多様な呼称があり、その機能的役割から「建」(覆すという意味)の文字が当てられています。
茶道における建水は、一見すると脇役的な存在に見えますが、実際には「茶に近い道具の第二位」とも言われる重要な道具です。どのようなお点前においても必要不可欠な存在であり、茶席の進行において欠かすことのできない実用的な道具として位置づけられています。建水は「陰の道具」として扱われるため、通常は客席からは見えにくい位置に置かれますが、だからこそ茶道の「奥ゆかしさ」や亭主の心配りを表現する重要な要素となっています。
骨董品としての建水は、単なる実用品を超えて、日本の茶道文化と工芸技術の粋を結集した芸術作品として高く評価されています。特に古い時代の唐銅や砂張(さはり)製の建水、名工による陶磁器製の逸品、そして千利休をはじめとする茶人が愛用した曲物(まげもの)の建水などは、その歴史的価値と芸術性により極めて高い価値を持つコレクターズアイテムとなっています。
建水の魅力は、茶道具における「通好み」の楽しさにあります。ファッションにおける「靴」や着物の「裏地」のように、一見目立たないながらも、真の目利きにはその価値が分かる奥深い道具として茶人に愛され続けています。建水や蓋置を褒められることは、茶道において最高の褒め言葉の一つとされ、亭主にとっては大きな喜びとなります。
現代においても、建水は茶道文化の継承において重要な役割を果たしており、伝統的な製作技法による手作りの逸品から、現代作家による革新的なデザインまで、幅広い作品が制作され続けています。その機能美と精神性を兼ね備えた建水は、日本の工芸文化を代表する貴重な文化遺産として、国内外で高い評価を受けています。

茶壺/茶心壺

2025.08.11

茶壺(ちゃこ・ちゃつぼ)と茶心壺(ちゃしんこ)は、煎茶道において茶葉を保存するために使用される重要な茶道具です。流派によって「茶入」「葉茶器」「茶鑵(ちゃかん)」「茶瓶」「茶盒(ちゃごう)」「茶貯(ちゃちょ)」「建城(けんじょう)」など様々な呼称があり、その多様性は煎茶道の豊かな文化を物語っています。

現在の「茶筒」と同様の機能を持つこれらの道具は、単なる保存容器を超えて、茶の香りと品質を最適な状態で維持するために特別に設計された精密な器具です。お手前に使用する数回分の茶葉を入れておくのが一般的で、大容量の貯蔵用とは明確に区別されています。茶心壺の名称は中国から伝来した際の漢字をそのまま用いており、文字通り「茶の心を保つ壺」という意味を持ちます。

骨董品としての茶壺・茶心壺は、煎茶道における茶入と同様に珍重され、他の道具よりも格上の扱いを受けることが多い名品です。特に中国明・清朝時代から伝来した錫製の古作や、国内の名工による逸品は、その歴史的価値と芸術性により極めて高い評価を受けています。

茶壺・茶心壺の最大の特徴は、材質による機能性の追求にあります。特に錫製のものは「茶葉がしけらず、品質を長く保つ」という実用的な理由から最上とされ、職人の世界では「茶壺をつくって一人前」と言われるほど技術的に困難な逸品とされています。陶磁器製のものも多く存在し、染付、赤絵などの美しい装飾が施されたものは、実用性と観賞性を兼ね備えた芸術作品として高く評価されています。

これらの茶道具は、単なる道具としての機能を超えて、日本の煎茶文化と職人技術の粋を結集した工芸品として、現代においても多くのコレクターや茶道愛好家から愛され続けています。

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