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【金工品 その他】金谷五郎三郎「渋紙槌目茶盆」

2025.10.27

こんにちは、ひるねこ堂尼崎店です。
このたび香川県のお客様より金谷五郎三郎の「渋紙槌目茶盆」をお買取りいたしました。
 
金谷五郎三郎は、京都を代表する金工作家・錺鋳物師の名家であり、その歴史は寛永年間に遡ると伝えられています。初代・金屋五郎三郎(道円)が鉄の着色法を工夫し、「五郎三色」と呼ばれる緋銅色・黄銅色の表現を確立したのがその端緒とされ、以後、代々その秘技を受け継ぎながら、鍛金・鋳金・彫金を駆使した金属工芸作品を制作してきた家系です。
今日、金谷五良三郎を含むこの流派の作品は、煎茶道具、銅瓶・茶盆・茶具金具・香炉・花器など、幅広い金工領域で知られており、特有の槌目表現や金属着色(緋銅・黄銅など)技法が注目されます。
「渋紙槌目」という意匠名称は、本作品において槌目(つちめ)加工を施した金属面に、やや渋味を帯びた表情を与えた仕上げを指すものと想定されます。槌目を打ち出す金敲(かなど)技法と、随所に入る陰影線・研磨のバランス、金属着色処理を組み合わせた茶盆として、工芸性・使用性双方の魅力を併せ持つ品と見なされ得ます。
 
【査定ポイント】
■槌目加工の均一性と精度
茶盆全体に施された槌目の密度、打痕の深さ・傾斜、面の平滑性、打出しムラの有無など、槌目の質感表現を綿密に確認します。
■表面仕上げ・渋味表現
仕上げ研磨の度合い、艶消し感・陰影の残し具合、着色処理(緋銅・黄銅など)との調和、変色・くすみ・錆び(緑青など)の発生具合を評価します。
■造形寸法・構成バランス
盆の縁幅・縁高・口径と内径の比率、盆底高さ、縁回りのリム処理、全体バランスの美意識を確認します。意匠線(縁・底・側面形状)が整っているかどうかが判断軸になります。
■接合・補修痕・裏部処理
裏側の補強・ハンダ処理・リベット処理・裏打ち板など補修・補強痕の有無を厳査。補修跡や改変箇所が目立つと評価を下げる要因となります。
■銘印・作者刻印・来歴資料
作品表面または裏側に刻まれた銘印(作家名・家紋・工房印等)、共箱・共布、来歴書・購入記録等の資料があれば、正当性を裏付ける要素となります。
■希少性・流通実例・市場動向
金谷五郎三郎作の茶盆例の流通頻度、近年の売買実績、工芸品マーケット・美術品市場における金工作品需要を踏まえつつ、希少性視点を加味します。
 

【絵画・油彩画】羽沢清水「別府湾」

2025.10.27

こんにちは、ひるねこ堂二又瀬店です。
このたび大分県のお客様より羽沢清水の油彩「別府湾」をお買取りいたしました。
 
羽沢清水は1944年生まれの山形県出身の画家です。
主に風景画作家として活躍しております。
油彩画の特徴は顔料を亜麻仁油などの油で溶いて描く技法で、細部の表現や重ね塗りによる重厚感、肌合いなど技法のバリエーションが豊富なのが特徴的です。

【骨董品・その他】一峯 讃岐彫 盆

2025.10.25

こんにちは、ひるねこ堂尼崎店です。
このたび香川県のお客様より「一峯 讃岐彫 盆」をお買取りいたしました。
 
本日は讃岐漆芸の盆のご紹介です。
讃岐漆芸は「蒟醤」「彫漆」「存清」の3つの技法を用いる漆芸です。
蒟醤は素地の上の漆に彫刻した後に色を埋めていく技法です。
彫漆が複数の色の漆を重ね塗りした部分を出したい色の部分まで彫刻する技法です。
存清は漆の上に色のついた漆を乗せたのちに輪郭を線彫りする技法です。
このように複数の技法を用いることで非常に幅広い表現ができるのが讃岐漆芸の特徴です。
 

【急須】二代三浦竹泉「紫泥急須」

2025.10.21

こんにちは、ひるねこ堂尼崎店です。
このたび徳島県のお客様より三浦竹泉の急須をお買取りいたしました。
 
今回は2代目 三浦竹泉をご紹介させて頂きます。
 
三浦竹泉は明治から5代続く京焼の名門で、5代全て初代からの親族で引き継がれています。
初代は1853年生まれ、高橋道八に師事後、30歳の1883年に京都で窯を立ち上げたのが始まりです。
西洋の彩色技術を日本磁器に用いた釉薬透明紋を開発、金襴手や染付といった従来では無かった技法や作風にこだわり、古来から続く伝統技法を残しつつ新しい風を取り入れる等、京焼の改革と挑戦に努めました。
その斬新な技法や技術、デザインは国内外から称賛され、三浦竹泉の名を広く知られる事となります。
 
初代は65歳という若さで逝去、その伝統は長男の敬太郎(後に2代目竹泉を襲名)が引き継ぎ、煎茶道具を得意とする名工と呼ばれ、父親譲りの才能の持ち主でしたが、襲名からわずか5年で早世。
若くして亡くなった為、作品は多くはないものの、その洗練された作品は今でも高い評価を得ています。
 

【万年筆】ペリカン スーベレーン ペン先18K

2025.09.29

こんにちは、ひるねこ堂二又瀬店です。
このたび福岡県のお客様よりペリカンの万年筆「スーベレーン」をお買取りいたしました。

 

〇ドイツが誇る高級万年筆「スーベレーン」
ペリカンのスーベレーン(Souverän)は、1929年に誕生したドイツを代表する高級万年筆シリーズです。「Souverän」はドイツ語で「主権者」「君主」を意味し、その名の通り万年筆界の王者として世界中の愛好家から絶大な支持を受けています。

 

〇スーベレーンの特徴と魅力
スーベレーンの最大の特徴は、美しい縞模様のセルロイドボディです。グリーン縞の「M800」「M600」「M400」をはじめ、ブルー縞、ブラック縞など多彩なバリエーションが展開されています。
14金や18金のペン先は、ペリカン独自の技術により滑らかな書き味を実現しています。ピストン吸入方式により大容量のインク貯蔵が可能で、実用性と美しさを兼ね備えた逸品です。

 

〇人気モデルと仕様
代表的なモデルには、フラッグシップの「M1000」、定番人気の「M800」「M600」、エントリーモデルの「M400」があります。それぞれサイズや重量が異なり、手の大きさや好みに応じて選択できます。

 

〇買取市場での評価
ペリカン スーベレーンは中古市場でも高い人気を誇ります。
買取査定では、ペン先の状態、ボディの傷や変色の有無、付属品(箱・保証書)の完備、インク吸入機構の動作が重要なポイントとなります。限定モデルや廃番モデルは特に高評価となる傾向があります。

【勲章】 大日本帝国造幣局製 満州帝国皇帝訪日記念章

2025.09.23

こんにちは、ひるねこ堂尼崎店です。
このたび兵庫県のお客様より満州帝国皇帝訪日記念章をお買取りいたしました。

 

記念章とは国家的行事への参加者や国家事業の関係者を授与対象として、国などの公の機関が所管の法令によって制定・発行した記章(メダル、バッジなど)のことを言います。

 

今回お買取りした「満州帝国皇帝訪日記念章」は、満洲国皇帝となった溥儀が1935年(康徳2年)に日本の皇室を訪問した記念として制定されました。デザインは日名子実三(ひなごじつぞう)で大分県出身の彫刻家です。本記念章の他にも昭和六年乃至九年事変従軍記章や支那事変従軍記章などの著名な従軍記章や、八咫烏を意匠とする日本サッカー協会のシンボルマークをデザインしたことで知られています。

 

意匠は矢じり型で表面の右に蘭が、左に菊の花束がデザインされています。蘭は満州国の国章で、菊は伝統的に皇室や日本国を表しています。

 

【絵画・油彩画】本松進一「忍野富士」

2025.09.22

こんにちは、ひるねこ堂尼崎店です。
このたび京都府のお客様より本松進一の油彩「忍野富士」をお買取りいたしました。
 
本松進一の油彩画のご紹介です。

油彩は「油絵」とも呼ばれています。鉱物性の顔料や亜麻仁油を原料とする油絵具で描かれた絵画のことを言います。
油絵は絵具を塗る、盛る、削るなど力強く重厚な表現ができる一方で透明、不透明、厚塗り、極薄塗りなど様々な表現ができるのが特徴的です。
 
本松進一は京都に暮らし30年以上にわたり古都の風景や各地の四季の景色を追い求め、精緻な技法で風景を描き続けました。

【竹製品】虫籠

2025.09.09

こんにちは、ひるねこ堂尼崎店です。
このたび大阪府のお客様より虫籠をお買取りいたしました。

 

虫籠(むしかご)は、その名の通り虫を入れるための道具です。
古来より日本には、虫の鳴き声を愛でるという文化がありました。現存する日本最古の歌集『万葉集』には、「こおろぎ」を詠んだ歌が七首残されており、少なくとも奈良時代には虫の音を楽しむ文化が存在していたことがうかがえます。
ちなみに、当時の「こおろぎ」という言葉は、鳴く虫全般を指す総称として用いられていたようです。
その後平安時代になると、鳴く虫を籠に入れて鑑賞する文化が広まり、江戸時代中期には「虫売り」という商売も登場し、庶民の間でも流行しました。
このような背景から虫籠にも時代による違いがあり、庶民が使用していた素朴で安価なものから、貴族が用いた精緻で豪華なものまで、さまざまな種類が存在します。

包丁まとめ 兼常(SEKI)、KEENSUN(ジンチュアン)、濃州正宗(SEKI)等

2025.08.29

こんにちは、ひるねこ堂尼崎店です。
このたび京都府のお客様より包丁をお買取りいたしました。

 

本日は「包丁」を買取させていただきました。
包丁(ナイフ)は世界中に存在するものですが、日本の和包丁は海外からの人気も高く、現在需要が高まっているお品物の一つです。
インバウンドの方が集まる都市のドラッグストアなどでも包丁のコーナーが存在するほど、世界中から注目が集まっています。
和包丁は西洋のナイフとは異なり、片刃となっており、刃がついていない方向にも自由に傾けられるため、単純な「切る」という動作以外にも「削ぐ」という動作が可能であり、繊細な日本料理にうってつけの構造となっています。
また、日本刀由来の技術により切れ味、耐久性に優れており、日本の技術力が集約されたジャンルです。
メイドインジャパンが高く評価されるのはとても喜ばしいことですね。

 

 

【万年筆】パーカー ペン先14k

2025.08.23

こんにちは、ひるねこ堂大阪店です。
このたび大阪府のお客様よりパーカーの万年筆をお買取りいたしました。
 
本日はPARKER(パーカー)の万年筆を買取させていただきました。
パーカーはイギリスの文房具メーカーで今日まで万年筆などの高級文房具を製造しています。
現在はアメリカ資本となっておりますが、イギリスの文房具メーカーとして世界中で愛されています。
映画「007 ゴールデンアイ」でジェームズボンドが使っていた武器もパーカーの万年筆がベースになっています。
また、マッカーサー元帥が太平洋戦争の終結時にミズーリ号で行われた調印式で使用したのもパーカーの万年筆です。
1962年に英国王国御用達メーカーに認定されるなど非常に格式高い文房具メーカーと言えます。