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建水鑑定・高価買取いたします。

建水(けんすい)は、茶道と煎茶道において茶碗を清めたり温めたりした際に使用した湯や水を捨てるための重要な茶道具です。「こぼし」「水こぼし」「水覆(みずこぼし)」「水翻」「水下」「骨吐(ほねはき)」など多様な呼称があり、その機能的役割から「建」(覆すという意味)の文字が当てられています。
茶道における建水は、一見すると脇役的な存在に見えますが、実際には「茶に近い道具の第二位」とも言われる重要な道具です。どのようなお点前においても必要不可欠な存在であり、茶席の進行において欠かすことのできない実用的な道具として位置づけられています。建水は「陰の道具」として扱われるため、通常は客席からは見えにくい位置に置かれますが、だからこそ茶道の「奥ゆかしさ」や亭主の心配りを表現する重要な要素となっています。
骨董品としての建水は、単なる実用品を超えて、日本の茶道文化と工芸技術の粋を結集した芸術作品として高く評価されています。特に古い時代の唐銅や砂張(さはり)製の建水、名工による陶磁器製の逸品、そして千利休をはじめとする茶人が愛用した曲物(まげもの)の建水などは、その歴史的価値と芸術性により極めて高い価値を持つコレクターズアイテムとなっています。
建水の魅力は、茶道具における「通好み」の楽しさにあります。ファッションにおける「靴」や着物の「裏地」のように、一見目立たないながらも、真の目利きにはその価値が分かる奥深い道具として茶人に愛され続けています。建水や蓋置を褒められることは、茶道において最高の褒め言葉の一つとされ、亭主にとっては大きな喜びとなります。
現代においても、建水は茶道文化の継承において重要な役割を果たしており、伝統的な製作技法による手作りの逸品から、現代作家による革新的なデザインまで、幅広い作品が制作され続けています。その機能美と精神性を兼ね備えた建水は、日本の工芸文化を代表する貴重な文化遺産として、国内外で高い評価を受けています。

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当ページでは過去の買取事例から建水の詳細まで細かく記載しております。
是非、最後のページまでお読みください。

ひるねこ堂について

種類や歴史

建水の歴史は、鎌倉時代の1260年頃に中国宋代から伝来した「皆具(かいぐ)」の一つとして始まります。皆具は臨済宗の僧である南浦紹明が宋から帰国後、京都の大徳寺に伝えたとされています。当時の中国では既に茶席で使用されていた実用的な道具であり、日本においても茶道の発展とともに重要な位置を占めるようになりました。

■歴史的発展と変遷
鎌倉・室町時代の基礎 初期の建水は主に銅製が中心で、千利休が所有していた唐銅皆具が有名な例として挙げられます。この時代の建水は台子皆具の一部として使用され、格式の高い茶席における重要な道具でした。

安土桃山時代の発展 千利休の時代になると、建水の形状や材質に大きな変化が見られました。曲物の建水については、武野紹鴎が巡礼の際に持参していた飯ごうからヒントを得て水屋用に考案し、それを千利休が茶室で使用したのが始まりとされています。利休は実用性と精神性を重視し、「大脇差」と呼ばれる独特の形状を好んだことで知られています。

江戸時代の多様化 江戸時代に入ると、建水の材質と形状がさらに多様化しました。唐銅製に加えて陶磁器製のものが登場しましたが、当初は一般的ではありませんでした。陶器皆具が人々に広く受け入れられるようになったのは江戸時代末期のことです。

明治時代以降の普及 明治時代になると、裏千家十一世玄々斎が広めた「立礼式」において陶器皆具が使用されるようになり、これを機に陶磁器製の建水が一般的に普及するようになりました。現代に至るまで茶道には欠かせない道具として定着しています。


■材質による分類
金属製建水(最高級品)
砂張(さはり) 砂張は錫を約2割程度含む銅の合金で、響銅とも呼ばれます。建水の中でも最も格の高い材質とされ、特に江戸時代初期の茶人・金森宗和所持と伝来する砂張袋形建水などは国宝級の価値を持ちます。砂張は非常にデリケートな材質で、適切な扱いが要求される高級品です。

唐銅(からどう) 古くから使用されている金属で、赤銅に錫や亜鉛を加えた合金です。唐銅の建水は実用性と美しさを兼ね備え、特にえふご(餌畚)形の建水が代表的な形状として知られています。手垢や脂が付きやすいため、丁寧な手入れが必要です。
モール(モウル・毛織) 近世に使用されるようになった合金で、独特の質感と色合いを持ちます。実用性に優れ、比較的手入れが容易な材質です。

陶磁器製建水
焼締陶器 備前焼、信楽焼、丹波焼、伊賀焼などの無釉陶器による建水は、土の素朴な美しさと実用性を兼ね備えています。特に古い時代の名品は高い価値を持ちます。

施釉陶磁器 各地の窯元で作られる施釉の建水は、美しい装飾と実用性を両立させています。染付、青磁、白磁、交趾手など様々な技法による作品があります。

見立ての建水 ハンネラ(ベトナム陶磁)や南蛮甕の蓋など、本来は他の用途で作られた器を建水として見立てたものも高く評価されています。

木竹工芸品
曲物(まげもの)建水 木地を曲げて作った建水で、千利休形として知られています。特に小間での濃茶の際に相応しいとされ、綴じ目を手前にして使用する決まりがあります。

塗物建水 漆塗りを施した曲物で、蒔絵などの装飾が加えられることもあります。格式の高い茶席で使用される高級品です。

■形状による分類
七種建水 茶道において伝統的に語り継がれる代表的な建水の形状として「七種建水」があります:
餌畚(えふご): 魚を入れる籠の形を模した建水
大脇差: 千利休が好んだ形で、脇差を連想させる形状
差替: 取り替え可能な構造を持つ建水
瓢箪(ひょうたん): 瓢箪の形を模した建水
棒先(ぼうさき): 細長い形状の建水
槍鞘(やりのさや): 槍の鞘を模した形状
金盥(かなだらい): 合子形に相当する平たい建水

特殊な形状
合子(ごうし): 本来蓋物の身の部分を指す形状
平建水: 如心斎好みとされる小卓の下に入る平たい建水
袋形: 頸部をやや締めた袋のような形状

地域的特色と窯元
日本各地の窯元で独特の建水が制作されており、それぞれの地域性と技術的特徴を反映しています。京都の清水焼、愛知の瀬戸焼、長崎の平戸焼、佐賀の唐津焼など、各産地の特色ある建水は茶道愛好家に愛され続けています。

鑑賞ポイント

建水の鑑賞においては、実用品としての機能美と工芸品としての芸術性を総合的に評価することが重要です。一見地味な存在でありながら、真の茶道具愛好家にとって最も目利きが試される道具の一つとして、多角的な視点から鑑賞する必要があります。

■機能美の鑑賞
使い勝手の良さ 建水の最も重要な鑑賞ポイントは、その機能性にあります。湯水を捨てやすいように口部が大きく開いていること、適度な重量感で安定感があること、柄杓との相性が良いことなど、実際の使用感を想定した造形美を評価します。
形状の合理性 筒型、桶型、壺型、碗型など様々な形状がありますが、それぞれの形状が持つ機能的な意味を理解することが重要です。茶室の大きさ、使用する茶道具との調和、茶事の格に応じた適切な選択ができているかを鑑賞します。

■材質の鑑賞
砂張の品質評価 最高級とされる砂張の建水では、合金の配合比率による色合いの違い、表面の仕上げの美しさ、経年変化による独特の風合いを詳細に観察します。砂張特有の響きや手触りの感覚も重要な鑑賞要素となります。

唐銅の味わい 唐銅製建水の場合は、金属特有の重厚感、使い込むことで生まれる自然な色合いの変化、表面の質感などを評価します。手垢による自然な光沢や、適切な手入れによる美しい発色も鑑賞のポイントです。

陶磁器の技術評価 陶磁器製の建水では、土の質、釉薬の美しさ、焼成技術の完成度を詳細に検証します。特に焼締陶器の場合は、土の表情、自然釉の美しさ、窯変による偶然の美などを鑑賞します。

■造形美の鑑賞
プロポーションの美 建水全体のバランス、口縁部の処理、底部の安定感など、全体的なプロポーションの美しさを評価します。機能性を追求した結果生まれる自然な美しさが、建水の最大の魅力です。

細部の仕上げ 口縁の処理、底部の削り、表面の仕上げなど、細部にわたる職人の技術を観察します。これらの細部の完成度が、作品全体の品格を決定づけます。

■歴史的価値の鑑賞
時代性の表現 制作された時代の美意識や技術水準を反映した作品として鑑賞します。鎌倉時代から現代に至るまでの建水の変遷を理解することで、より深い鑑賞が可能となります。

茶人の好み 千利休、古田織部、金森宗和など、歴史上の著名な茶人が好んだ形状やスタイルを理解することで、建水の文化的価値を正しく評価できます。

■取り合わせの妙
道具組の調和 建水は単独で存在するものではなく、茶室全体の道具組における調和を重視します。茶碗、茶入、花入などとの取り合わせの美しさも重要な鑑賞ポイントです。

季節感との調和 春夏秋冬の季節感に応じた建水の選択と、その季節性の表現方法も茶道における重要な鑑賞要素です。

■精神性の鑑賞
茶道精神の体現 建水は茶道における「もてなしの心」を表現する重要な道具です。客に見えない部分への気配りや、実用性を重視する茶道の精神性を体現した作品として鑑賞します。

侘寂の美学 華美を避け、質素でありながら品格のある美しさを追求する侘寂の美学が、建水という道具に最もよく表現されています。この精神性を理解することが、建水鑑賞の最も重要な要素です。

■作家性の鑑賞
現代作家の個性 現代の陶芸家や金工作家による建水では、伝統技法を踏まえながらも現代的な感性を加えた作品を鑑賞します。作家の個性と技術力が作品にどのように表現されているかを評価します。

地域性の表現 各地の窯元や工房で作られる建水には、その土地の特性や伝統が反映されています。地域性を理解することで、より豊かな鑑賞体験が可能となります。

■使用痕跡の価値
茶席での使用痕跡 長年茶席で使用された建水に見られる自然な使用痕跡は、道具としての生命力を物語る貴重な要素です。適度な使用感は、建水の価値を高める重要な要素となります。

手入れの痕跡 丁寧な手入れによって維持された建水の美しさは、所有者の茶道に対する真摯な姿勢を表現しています。これらの痕跡も含めて、建水の総合的な価値を評価します。

査定ポイント

建水の骨董品としての査定においては、材質の品質、制作技術の完成度、歴史的価値、保存状態、希少性など、多角的な評価が必要となります。特に建水は実用品としての機能性と工芸品としての芸術性を兼ね備えているため、両方の観点からの専門的な査定が不可欠です。

■材質の品質評価
砂張製建水の査定 砂張は建水の材質中最高位に位置するため、最も高額な査定対象となります。合金の純度、錫の配合比率、響きの美しさ、色合いの品格などを専門的に評価します。特に江戸時代以前の古砂張は極めて高い価値を持ち、金森宗和などの著名茶人の伝来品は国宝級の評価を受けます。砂張は非常にデリケートな材質のため、傷やこすれの有無、腐食の程度なども詳細に検証します。

唐銅製建水の査定 唐銅製建水は実用性と美しさを兼ね備えた中級品として位置づけられます。金属の品質、表面の仕上げ状態、自然な経年変化の美しさ、手垢による適度な光沢などを評価します。特に利休形や宗和好みなどの由緒ある形状は高く評価されます。

陶磁器製建水の査定 窯元の格付け、作家の知名度、技術的完成度を総合的に評価します。備前、信楽、丹波、伊賀などの古陶は特に高く評価され、現代作家による作品についても技術力と芸術性を専門的に判断します。

■形状と時代性の査定
七種建水の価値 伝統的な七種建水(餌畚、大脇差、差替、瓢箪、棒先、槍鞘、金盥)の形状を正確に踏襲した作品は高く評価されます。特に利休好みの大脇差や、古田織部好みの形状などは歴史的価値が加算されます。

時代判定 制作年代の正確な特定は査定の基本となります。鎌倉・室町期の皆具、桃山期の利休好み、江戸期の各流派好み、明治期の立礼用など、それぞれの時代的特徴を正確に把握し、適正な年代評価を行います。

■技術的完成度の評価
製作技術の査定 手作りによる成形技術、表面仕上げの完成度、機能性の追求度などを詳細に評価します。特に曲物建水の場合は、木の選択、曲げ技術、接合部の処理、塗装技術なども重要な査定要素となります。

装飾技法の評価 蒔絵、彫刻、象嵌などの装飾が施された建水については、その技法の完成度と芸術性を専門的に評価します。ただし、建水の本質は実用性にあるため、過度の装飾は逆に価値を下げる場合もあります。

■保存状態の査定
構造的損傷の確認 建水は実用品であるため、使用による摩耗や損傷の有無を詳細にチェックします。口縁部の欠け、底部の穴、金属製品の腐食、木製品の虫食いや割れなど、使用に支障をきたす損傷は大幅な価値下落要因となります。

修復歴の評価 過去の修復歴がある場合は、修復技術の水準と修復箇所の目立ち具合を評価します。適切な修復は価値を維持しますが、不適切な修復は価値を大幅に下げる要因となります。

■付属品と来歴の確認
共箱・極書の価値 作者による共箱や、茶道家による極書(きわめがき)の有無は、作品の真正性と価値を証明する重要な要素です。特に家元による書付けがある場合は、大幅な価値上昇要因となります。

伝来歴の重要性 著名な茶人や名家からの伝来歴は、建水の格式と価値を大幅に高めます。千利休、古田織部、金森宗和などの茶人使用の記録や、大名家、豪商家からの伝来は特に高く評価されます。

■希少性と市場価値
同種作品の流通状況 同じ作者、同時期、同形状の建水の市場流通状況を把握し、希少性を適正に評価します。特に古砂張や名工による一点物は極めて高い価値を持ちます。

コレクター需要の動向 茶道愛好家、古美術収集家、金工愛好家などの需要動向を分析し、将来的な価値変動も考慮した査定を行います。

■茶道界での位置づけ
流派との関連性 特定の茶道流派で使用された歴史や、流派の好みに合致した作品は、その流派の愛好家からの需要により高い価値を持ちます。

茶道具としての格付け 建水は茶道具の中でも特殊な位置づけにあるため、茶道界における正確な格付けの理解が査定には不可欠です。

■現代作家作品の評価
作家の格付け 現代の陶芸家や金工作家による建水については、作家の知名度、技術力、受賞歴、展覧会出品歴などを総合的に評価します。人間国宝や重要無形文化財保持者の作品は特に高く評価されます。

技術革新の評価 伝統技法を踏まえながらも現代的な工夫を加えた作品については、その革新性と完成度を専門的に判断します。

■国際的な評価
海外での評価 近年、日本の茶道文化に対する海外の関心が高まっており、建水についても国際的な評価が価値に影響することがあります。特に美術館収蔵品や国際展出品作品は高い評価を受けます。

建水の査定においては、これらの多様な要素を総合的に評価し、その作品が持つ真の価値を見極めることが重要です。単なる古さや希少性だけでなく、茶道具としての本来の価値、工芸品としての完成度、そして茶道文化における意義を含めた多面的な評価により、適正で公正な査定を実現いたします。建水という一見地味な道具の奥深さと価値を正しく理解し、茶道文化の継承に貢献する責任を持って査定に臨んでおります。

当社をご利用されたお客様

この度は弊社の出張買取をご利用いただきありがとうございます。
多くの物をお買取りできましたこと、大変喜ばしく思います。
一見すると価値がないように見えるものでも我々からすると価値があるということは往々にしてございます。 「こんなもの見せてもいいのかしら…」とお悩みになる方も多いですが、どのようなお品物でも喜んで拝見しますので、 まずは一度お気軽にご相談いただければと思います。
弊社では多くの都道府県に最低月に一度は訪問しておりますので、遠方であっても出張買取の対応が可能となります。

お客様のコメント

3歳の孫と一緒にお店に伺いました。父の趣味である掛け軸と陶器の買取依頼をしました。
初めてなので緊張しましたが、担当の方が孫が退屈にならないように笑顔で声かけして頂いて緊張もほぐれてとても良い雰囲気 になりました。また知識豊富な方のようでこの店で査定して頂いて満足しています。これからも機会があれば利用したいと思っています。

担当鑑定士からのコメント

この度はご来店いただき、誠にありがとうございます。 また、お父様の大切なお品物をご売却いただき、重ねてお礼申し上げます。
掛軸や陶磁器はどの時代のものなのか、どの作家のものなのかによって、金額が大きく異なります。 それらを特定するためには長年の経験によって裏打ちされた知識が必要となりますし、その時々の相場を把握するために国内外の相場を日々チェックしなければなりません。できる限りのご説明を差し上げましたが、ご満足いただいたようで何よりです。
弊社では単にお品物を拝見し、金額をご提示するだけでなく、 骨董品・美術品の鑑定という、なかなか体験することのない経験を良きものとして終えていただけるよう、 ご同行者様も含めて配慮いたしますので、ご安心してご利用いただけます。

お客様のコメント

引っ越し前に、父の遺品整理も兼ねて査定を依頼しました。骨董品に全く興味がなく値段の付け方も解らない私と母に、どういった物でどのような基準で値段を決めるのかを丁寧に教えて下さいました。また、初めに言っていた物に加え話してるうちに次々と思い出したかのようにタンスの奥から引っ張り出してくる母に対しても全く嫌な顔もせず最後まで親切に対応してくださ いました。
最近では沢山の買取り業者があり、私たち素人には何処が良いのかが全くわからず悩んでいましたが、ひるねこ堂さんの対応に安心し、納得して買い取って頂きました。私と同じような人が周りにいたら是非紹介させて頂きたいと思いました。

担当鑑定士からのコメント

この度は弊社の出張買取をご利用いただきありがとうございました。 お引越し前の整理のお手伝いができたようで何よりです。ご自宅の整理につきましては、実に多岐にわたるお品物を拝見することが多いので、それだけ幅広い知識が必要となります。 弊社の鑑定士は日々、知識の向上に努めておりますので、どのようなお品物でも喜んで拝見します。
もちろん、全てのお品物に精通しているわけではございませんので、必要に応じて各専門家に意見を伺います。
分からないまま買取することがないようにしておりますのでご安心してご利用くださいませ。

お電話での査定は0120-510-410まで