高価買取作家

伊藤清永

1911年　兵庫県出石町に生まれる

1928年　岡田三郎助門下生となり、本郷研究所に入所する

1931年　槐樹杜展で「祐天寺風景」が初入選を果たす

1933年　第14回帝展で「朝の路次」が初入選する

1935年　東京美術学校油絵科を卒業する

1936年　文部省美術展選奨受賞する

1947年　第3回日展に出品した作品「I夫人像」が特選を受賞する

1953年　伊藤絵画研究所を創設する

1956年　日展審査員になる

1977年　日本芸術院恩賜賞および日展内閣総理大臣賞を受賞する

1989年　兵庫県文化賞を受賞する。

1996年　文化勲章を受賞する

1997年　「伊藤清永賞子ども絵画展」を創設する

2001年　90歳で逝去

伊藤清永は徹底して女性美を追求、豊満で温かみのある優美な裸婦像を描き、その世界を模索し続けた裸婦像の名手として知られています。色彩の交響楽ともいわれるその作品の数々は、まさに芸術を超えた彼自身の軌跡としても受け取ることができます。自らのことをモダンボーイと呼んでいたというだけあり、常に新しい芸術の可能性に挑戦し続けた、日本きっての芸術家と呼んで良いのではないでしょうか。

岡田三郎助に師事し本郷研究所に通い、本格的に絵を学びのが17歳の時。その後東京美術学校油絵科に入学しました。在学中に日展に出した作品で初入選を果たします。卒業後は白日会会員となり、日展だけでなく白日会でも活躍しました。

そんな伊藤の代表作として1936年に発表している「磯人」があります。海岸沿いで髪を絞る者や、赤子を抱く者、または収穫した貝類などを選別する者など日常風景を力強く大胆なタッチで描いており、彼の裸婦画制作への大きな機転となる作品になっています。そしてその後も、真実の写実を求め、常に新しい挑戦をしており、1962年にはフランスとオランダに渡り「オランダの裸婦」という素晴らしい作品も残しています。

彼の作品の特徴は、そのリアリティにあるともいわれています。芸術至上主義である伊藤は、その作品を描くことに決して手を抜くことはなかったそうです。裸婦を描くのであれば「抱いてみなければならい」というぐらいに現実感を大切にしていました。観察し、感じ、そして感動しなければ良い作品は生まれない。この精神を常に持ち続けた彼は、芸術という言葉に惑わされず真実を芸術の域まで表現できた日本でも数少ない洋画家なのではないでしょうか。数々の名誉ある賞を受賞し、日本洋画家界に大きな影響を残した伊藤清永。軽井沢のアトリエで製作中に息を引き取った伊藤清永という男は、芸術のために生まれたといっても過言ではない人間だったのです。

現在は、1989年に郷土の兵庫県に開館させた、伊藤清永美術館で彼の作品を見ることができます。

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