高価買取作家
磯井正美
1926年 6月27日生。
1985年 重要無形文化財「蒟醤」の保持者に認定。
磯井正美は如真の三男として生まれ、父の下で漆芸を学びました。蒟醬の革新者として豪奢、華麗な作風を特徴とした如真に対して、正美は細やかな心配りの下にモチーフの多くを自然から採り、植物や生き物はもとより、陽炎や波など変転する自然現象までをも自在に表現する独自の作風を確立しました。また、彫りや塗り、素地についてもさまざまな技法を創始し、蒟醬の世界にこれまでには求め得なかった清新な表現をもたらしました。
《積層》と呼ばれる、科ベニヤをはり重ねて成形した素地。木彫用の丸刀を使って、より柔らかいイメージを出す《蓮華彫り》。金紛や銀粉を用いる沃懸地(いかけじ)の技法。色漆の層による微妙な斑文の色調の変化。角剣による点彫りを応用した《往復彫り》。ぼかし塗りをし、研いで断面を出すグラデーションの効果。一見すると線彫りのような、筆を用いて色漆を埋める摩訶不思議な線の創案。磯井正美ほど、蒟ま(きんま)の表現領域を広げた作家はいません。
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