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松本竣介

1912年 東京都渋谷で生まれる(本名:俊介)
1929年 太平洋美術学校へ通い始める 鶴田吾郎の指導を受ける
1933年 靉光と知り合う
1935年 NOVA美術協会の展覧会に出品する
1935年 二科展にて「建物」が初入選
1943年 新人画会を結成する
1948年 36歳で死去

 

家族や自身をテーマにした人間像のほかに、とりわけ詩情豊かに都会風景を理知的な画風で描いた日本の洋画家です。

洗練された感覚に支えられた彼の絵画は、時代の彩りを映しながらも、いつも透明感をたたえています。

 

中学に入学する目前に聴力を失ってしまった松本竣介はこのハンデをきっかけに画家を目指すことを心に決めます。

その気持ちは、青年になっても失うことはなく、上京後、太平洋画会研究所へ入所します。

二科展で初入選を果たした作品、「建物」を皮切りに、建物に人々が重なりあう幻想的な独特の作品を数多く発表していきます。

文化活動にも積極的な姿勢を見せていた松本竣介は、1936年にデッサンとエッセイを掛け合わせた雑誌「雑記帳」を刊行しています。

また、戦争期を生きてきた画家でもある松本竣介は、軍部などの圧力による美術干渉を強く否定するために刊行した

「みずえ」に「生きている画家」などの文章を発表していることもよく知られています。

 

そんな彼の代表作といえるのが、1942年に描いた「立てる像」で、都会の風景と人間とを静かに見つめた松本竣介のこの作品には、

静まり返った街に両足を踏ん張って立つ青年像が描かれています。

背景に描かれた風景は、高田馬場辺りの一隅といわれており、仁王立ちをしながらも、どこか不安げな表情をしたその青年は、

暗い時代に抵抗しつつ画家としての生き方を見つめ直そうとしている等身大の自画像とも見ることができます。

 

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