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上野山清貢

1889年 北海道札幌郡江別村(現・江別市)で生まれる
1924年 第5回帝展で初入選となる
1925年 第2回槐樹社展で初入選となり、槐樹賞を受賞する
1926年 第3回槐樹社展で槐樹賞、第7回帝展で特選を受賞する
1927年 第4回槐樹社展で槐樹賞、8回帝展で特選を受賞する
1928年 第5回槐樹社展に出品する
00000年第9回帝展で特選となる
1931年 「北海道美術家連盟」を結成する
1936年 「阿寒望遠図」2点を皇室に献上する
1945年 前日の空襲により全家屋と作品多数を焼失する
00000年北海道出身美術家20名と「全道美術協会」を結成する
1950年 一線美術を設立する
1960年 71歳で死去

 

大正から昭和時代に活躍した画家、上野山清貢の描く作品の特徴は、油絵ならではの重厚感と激しい色彩感、そして魚、花、動物などを多くモチーフにしているところです。北海道を題材とした作品を多く描いており、その筆のタッチの雰囲気からはフランスの画家ゴーギャンに似ていることから、「和製ゴーギャン」とも呼ばれていました。

自分自身でもゴーギャンに興味を持ち、ゴーギャンが住んでいたタヒチなどの地域について書いてある書籍など、その当時の日本では数少なかったようですが、そういった書籍にも目を通すなど、並々ならぬ興味を持っていたようです。

 

 

上野山の作品は全体的に力強く、彼の持つ雄大で繊細な雰囲気が作品に溢れていますが、幻想的な雰囲気も感じることができ、何とも味わい深い作品が多いことで有名です。

そんな上野山清貢の作品を語る上で必ず外せない作品が「サイパンにて」ではないでしょうか。

上野山清貢がサイパンなど南洋諸島への旅行をした後の作品なのですが、北海道という寒く雄大な土地で育った経緯もあってか、南国サイパンへの独特な印象を持って描かれています。

野性的であり、どこか幻想的である動物達が画面の中に配置されており、また彼の動物への慈愛の精神も感じることができる作品になっています。とはいえ、この絵画の持つ気品の高さも注目しなければいけません。

洋画の影響を強く受けながら、その動物と人間の配置されている構図は、日本人ならではの繊細さをもっており、作品の上品さも損なわれていないことが感動させます。オディロン・ルドンの影響も色濃く受けていると言われる上野山清貢ですが、彼の作品群を見ると影響は良い部分で取り入れてはいるものの、繊細、かつ大胆に計算されつくした構図など、独自の世界観に完全に仕上がっていることがわかるのです。

 

1911年に上京した後には、太平洋画会研究所に学び、黒田清輝や岡田三郎助などに教えを受けており、1915年には「パラダイス」「室内」など、帝展で3年連続特選となるなど早いうちから実力と才能を世間に知らしめています。

帝展で活躍し続けていく上野山は、さらに谷崎潤一郎などの文豪などとも交友を深めています。絵画だけでなく文学の世界にも精通しているところも、芸術を愛する彼の人間性を表しています。

激しい色使いと鮮やかさで日本の美術界で話題となった上野山の作品ですが、多くは地元北海道の美術館に寄贈されていることからも、彼の芸術を支えていたのは、広大な土地と風景が広がる北海道ではないでしょうか。

また、自分が納得するまでは一切の妥協はなく作品を描き続けたその制作に対する姿勢には、彼の友人の松本弘二も絶賛しているのが印象的です。こんなところが、上野山の優しくも情熱的な作品を生み出す幹となっているのでしょう。
郷里北海道に、全道美術協会を設立し、展覧会をひらく等同地の洋画発展にたえず努力し、その貢献が認められ1953年、北海道新聞社文化賞を受賞しました。

 

 

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